シェアして住んでいる古い一軒家の一室をホワイトキューブに改造しました。四畳半の小さな私設展示室です。2005年10月に坪井あやが自作を実験/公開するために開設しました。
自分の”現実感”を謎ということにして、主にテキストと日々記録している画像をてがかりに考察を進めています。自分の限界を超えることを目的として、不定期に展示という形に構成し、公開して近隣の方々にコメントを頂こう、というプロジェクトです。
アートが前提している自明な条件-アートワールドとの共依存、商品としてのアートオブジェクト-を、明示的に作品の中に組み込むのではなく、ましてや自明の前提のままとするのでもなく、非自明として排除した中で、原理的にアートは何をいかにすべきか/できるかを現在の視点から探る実験でした。設置の背景には、ダダ、ミニマリズム、モダンアート、アウトサイダーアート、現象学、人類学、メディア論、ドキュメンタリー/フィクション、リアリズム/マジックリアリズム、舞台芸術、Institutional Theory of Art等の参照、及びリレーショナルアート等への批判的な参照がありました。
毎回、展示室には任意の部屋番号がついています。人が休むためのスペースではなく、作品が格納されるスペースです。仮想上では、これまでに開室したすべての展示室が1つのホテルに格納されていき、最終的には意味を成す楼閣ができることを期待して、所在地の地名からとった「谷中」を冠しこのプロジェクトを「谷中ホテル」と呼んでいます。
2019年10月閉館。展示室は、302号室「Study #001(バタフライ効果)」/ 303号室「Study#002(イメージと重力)」/304号室「Study #003(形と叙情)」/201号室「Release #001(意味の彼岸)」等、全20室。
ご覧頂く際には、1人で入室していただいています。展示に影響のない範囲内で好きなだけ好きな姿勢で好きなようにご覧いただければと思います。
また、毎回入り口にて短いテキストを配布しています。概ね自分が何を目的として何を材料にして何を試みたのかを記したものになっています。入室される方には、自分の感覚を頼りに感じてもらうことをお願いするわけですが、そこからなんらか思考を組み立てたいと思った場合に備え、行った実験の条件/スペックを記しておく必要があると思うためです。もちろん体験していただくことが目的なので、読まなくても特に支障はありません。