602号室 / 快と幾何

IMG18210

展示空間は、斜め上方からせり出す面に貼られたエスカレーター出口の写真、波の小紋がリズミカルに繰り返される像、床にささった一本のナイフ、カップに張り付いた白い膜に揺れる木が現れて消える像、引き伸ばされたモノクロのバナナの写真、輪郭から実体へと移ろう揺れる木のプロジェクション、で構成される。

こんにちは、坪井です。今回、このような記述となりました。手順を簡単に記します。

日々撮りためているアーカイブの中から気になった写真を3-40枚程印刷したもの、木の揺れ(映像)、浮世絵における多様な風景画、ピクチャレスク美学による建築、多様な鉱石、多様な昆虫、宇宙の大規模構造、ヒトの免疫構造、について貼り出して、全体の連関を見ました。挙がったキーワードは例えば次のとおりです。
粘性と揺れ/パースペクティブ/布置/物質とその情報化/線と輪郭/リピートとリズム/受容処理としての像/仮想と像想像とイメージ/視覚的快(美的快)/人工装置としての電車/象形文字と像..

これまでに調べたところ、これらの断片全ては、自然の斉一性の論理という言い方で連関させることができることがわかっています。また、古代中国の文化では、姿を見せない神のあらわれを、揺れや風に見ていたという知見から、揺れという事象は東洋では長く広く共有されてきた関心であること、がわかっています。

以上を踏まえて用いる像を絞り、連結を試みたところがこの記述となります。じわじわと来る何かわからないものを少しでも感じていただければ幸いです。ぜひ、コメントなどいただけると嬉しいです。

なぜ私はその像が気になるのか。快を得るのか。それはどういうことなのか。そこにはどんな構造が見出せるのか。それはどのように記述できるのか。生死に関わるものとして、引き続きこの謎を追っていきたいと思います。