304号室(形と叙情)

IMG18050この度谷中ホテルでは、304号室を開室してビデオインスタレーションを展示しています。展示は、人の群れがゆっくりと動く像、しわくちゃになったレシートが形を変えてゆく像、大きめの葉が揺れる像、匙と棒がバランスをとる像、および、チャプリチャプリという音で構成されます。

これらはどれもずっと気になっていた現象に端的に形を与えてみたもの、あるいは採取し続けているものになります。

ところで、私たちの身の回りによくあるモノについてですが、それらは大量に生産されるもののがほとんどで、ほぼ四角形かマルを元にしたものです。対して自然と呼ばれるカテゴリに含まれるものは、単なる直線でもマルでもない情報の量の多い形をしており、そしてそれは動きを伴って現れることが多いように思います。

この線で展示を記述しなおしますと、最初は単なる4角形だったものも時間と力が加わると複雑な情報量の多い色形になります。単純な形も、整合性をとって組み合わせ、揺れを加えると、複雑ながらも軸のある動きになります。1人の人間が歩く様は複雑な色形をしていますが、数量を増やして色を取ると、もごもごとした動き、揺れが見えてきます。音についても同様で、水に定期的な振れを加えると、それはつまり洗濯機になりますが、複雑ながらも軸のある音になります。

これまで4回展示をするなかで、遅まきながらヒトの現実感/リアリティ、ここには叙情という意味合いを含めていますが、というものの正体が情報の統合にあるということがわかってきました。ここで、私は視覚芸術ならではの情報の統合の仕方、つまり因果関係や物語を使って統合するのではないやり方を模索しているとまとめられるかと思います。このことから、今回はさらに断片を扱うこと試みてみました。次につながるよう、精進してまいります。

最後になりましたが、この展示は広くコメントを頂く為にオープンしていまして、ぜひともご自身の感覚に浸っていただき、それがどんなことでも何か反応があるようでしたら聞かせていただけますと刺激になります。特にない…ということの方が多いとは思いますが、よろしくお願いできましたら幸いです。